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日本画の杜 第十一章 「山高神代桜」 2017・4

素描 「山高神代桜」 三月の終わりから四月の初めにかけて雪が降った。もう降らないだろうと思っていたのでうんざりした。この辺の人は誰でも もう雪は沢山だと思っている。神代桜の開花予想も外れた。 春の淡雪はあっけなく溶けて暖かくなり 桜も少しずつ咲…

日本画の杜 第十章 「山桜」 2017・3

「山桜」 6号F 暑さ寒さも彼岸までとは言え この辺りでは梅も桜も蕾のままだ。 一昨日 3月21日は雪が降った。 朝カーテンをあけると庭は真っ白な冬景色に逆戻りしていた。四月に入れば日中はストーブの要らない日も増えるが 天気予報はゴールデンウィークに…

日本画の杜 第九章 「早春の窓辺」 2017・2

第九章 「早春の窓辺」 「早春の窓辺」 8F 二月は雪の降る日が多い。北海道育ちの前本は雪の上でも アイスバーンでも平気で歩く。私はこのひと月程は 玄関の前の道へ出るのが精一杯だ。 勿論車の運転などもってのほかである。 庭にご飯を食べにくる鹿達をな…

日本画の杜 第八章 「ONE NOTE美術クラブ」 2017.1

第八章 「ONE NOTE美術クラブ」 2017・1・25 葉山に住んでいた事がある。 海沿いのその町は暖かくて いつも明るかった。十年以上前の事を思い出す。 ある日その人を見かけた。重たそうな黒髪が背中で揺れて 弾むような 不思議なリズムで歩いていた。すれ違う…

日本画の杜 第七章 「玉蔵院の庭」 2017・1

第七章 「玉蔵院の庭」 80号変形 1985年制作 新しい年になった。「絵描きに盆暮正月なし」と言われる。知っている限り、それは 本当だ。よく知っている絵描きは加山先生と前本の二人だが、盆暮正月は確かにない。 家にいれば画室以外に居場所はないし、画室…

日本画の杜 第六章 「天使とバラ」 2016・12

第六章 「天使とバラ」 2009年制作 「天使とバラ」 10号F 十二月に入ると良く晴れて温かい日が続いていた。冬晴れの八ヶ岳南麓は 夕暮れ時が美しい のどかな雲が桃色に染まって 山の端から月が昇る 早朝の雲もまた美しい 空と雲は一時もとどまらず どんな時…

日本画の杜 第五章 「森から」 2016・11

第五章 「森から」 「森から」15号P 1991年制作 10月半ばからずっと暖かい日が続いていた。 浅黄斑は相変わらず飛び回っていた 菊の花が好きなのか 熱心に蜜を吸っている カメラを近づけても全く動じない 野菊が満開になると しめやかな香りと共に秋の冷気…

日本画の杜 第四章 「紫苑」 2016・10

第四章 「紫苑」 2014年制作 「紫苑」 4号 秋の山を撮ろうと晴れるのを待っていた 十月になったのに雨の毎日 紫苑の咲く頃にこんなにお天気の悪い年はない 庭に蝶々が舞い込む 浅黄斑だ 南へ帰らなくてもいいのだろうか いつもの秋より暖かいのかも知れない …

日本画の杜 第三章 「椿下白猫」 2016・9

第三章 椿下白猫 「椿下白猫」 (ちんかはくびょう) 50号M 1997年制作 夏の終わり 空にはまだ夏雲 雨ばかりの九月 庭は秋海棠に覆われた 野菊 秋明菊 秋の花はどこか儚い。「儚い」という字は前本の絵のようだ。人が夢見ている形なのかも知れない。 私が秋…

日本画の杜 第二章 「夏の花籠」 2016・8 

第二章 夏の花籠 2012年制作 「夏の花籠」 私達が、度重なる引越しの末ようやくたどり着いた北杜市はどこからでも山が見える。その上、至る所に花が咲いている。小淵沢の駅に向かう道沿いに真っな罌粟が満開になると、六年前ここへ来た頃をなつかしく思…

日本画の杜 第一章 「三月の肖像」 2016・7

日本画の杜 前本利彦の作品に寄せて北杜市から 2016 7月 前本ゆふ 第一章 「三月の肖像」 私達がこの杜に来て五年が過ぎた。白い花の季節になった。純白の糊空木はひっそり と咲く。 高い木の茂る杜には神が宿ると聞いて いつか住んでみたいと思っていた。念…