第三十三章 「とびだす絵本」2019・6

                                           

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                                                                   「とびだす絵本」 10号

 

 

 

 

5月の末に 郭公が鳴いた。今年の気候はいつになく不安定で とても寒い。6月の7日に梅雨入りしたがいつまでも晴れた日が続き肌寒い。朝夕だけでなく終日ストーブ を焚く事もある。朝霧が流れてくる。陽が昇ると清々しい風が晴天をもたらす。

 

 

 

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             六月の風は本当に綺麗だ。

「六月を綺麗な風の吹くことよ」子規の句そのままである。郭公の声がする。無数の緑。

 

 

子規の句が好きだ。私の人生の貴重な友。子規はとびきり絵が上手い。字も良い。子規の句を読むと心が浮き立つ。

 

 

 

   「けしの花大きな蝶のとまりけり」

大好きな句である。大きな蝶のとまった真紅のけしでこころがいっぱいになる。何もかもどうでもよくなるような美。

 

 

    「仏壇の菓子うつくしき冬至哉」

         しめやかな 懐かしい時代

 

 

    「惜気なく梅折りくれぬ寺男

         なんと喜ばしいことか

 

 

    「山門を出て下りけり秋の山」

         これ以上の秋は無いだろう

 

 

「九つの人九つの場をしめてベースボールの始まらんとす」

          私の一番好きな季節

 

 

 

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             六月 杜は白い花に覆われる

 

 

 

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       そして薔薇の季節。 一番花も白いばらだった。

 

 

 

一年に一度だけ逢える私の友人たち。庭も八年目になって大きな木に成長した私の薔薇。

 

 

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六月も終わりに近づいているのに 気温が低くいつもの半分程しか開花しない。

それでも 花の間をすり抜け 交し合った枝々をくぐりながら庭を見て回るのは至上の喜びである。太陽が沈むまで庭に居たい。薄暗がりの中で私は心からこう言う ああ面白かった。庭は格別に面白い所である。

 

 

 

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