2016-01-01から1年間の記事一覧

日本画の杜 第六章 「天使とバラ」 2016・12

第六章 「天使とバラ」 2009年制作 「天使とバラ」 10号F 十二月に入ると良く晴れて温かい日が続いていた。冬晴れの八ヶ岳南麓は 夕暮れ時が美しい のどかな雲が桃色に染まって 山の端から月が昇る 早朝の雲もまた美しい 空と雲は一時もとどまらず どんな時…

日本画の杜 第五章 「森から」 2016・11

第五章 「森から」 「森から」15号P 1991年制作 10月半ばからずっと暖かい日が続いていた。 浅黄斑は相変わらず飛び回っていた 菊の花が好きなのか 熱心に蜜を吸っている カメラを近づけても全く動じない 野菊が満開になると しめやかな香りと共に秋の冷気…

日本画の杜 第四章 「紫苑」 2016・10

第四章 「紫苑」 2014年制作 「紫苑」 4号 秋の山を撮ろうと晴れるのを待っていた 十月になったのに雨の毎日 紫苑の咲く頃にこんなにお天気の悪い年はない 庭に蝶々が舞い込む 浅黄斑だ 南へ帰らなくてもいいのだろうか いつもの秋より暖かいのかも知れない …

日本画の杜 第三章 「椿下白猫」 2016・9

第三章 椿下白猫 「椿下白猫」 (ちんかはくびょう) 50号M 1997年制作 夏の終わり 空にはまだ夏雲 雨ばかりの九月 庭は秋海棠に覆われた 野菊 秋明菊 秋の花はどこか儚い。「儚い」という字は前本の絵のようだ。人が夢見ている形なのかも知れない。 私が秋…

日本画の杜 第二章 「夏の花籠」 2016・8 

第二章 夏の花籠 2012年制作 「夏の花籠」 私達が、度重なる引越しの末ようやくたどり着いた北杜市はどこからでも山が見える。その上、至る所に花が咲いている。小淵沢の駅に向かう道沿いに真っな罌粟が満開になると、六年前ここへ来た頃をなつかしく思…

日本画の杜 第一章 「三月の肖像」 2016・7

日本画の杜 前本利彦の作品に寄せて北杜市から 2016 7月 前本ゆふ 第一章 「三月の肖像」 私達がこの杜に来て五年が過ぎた。白い花の季節になった。純白の糊空木はひっそり と咲く。 高い木の茂る杜には神が宿ると聞いて いつか住んでみたいと思っていた。念…